“日本で5Gの商用サービスがスタートして早3年が過ぎていますが、ミリ波帯を使った5G展開がうまくいっていません。5Gの通信方法にはミリ波とSub6がありますが、ミリ波利用はほぼゼロという現状があります。ここではミリ波帯の普及についてまとめてみましょう。
【ミリ波帯を使った5G展開が難しい】
韓国や中国など周辺国に比べても日本の5Gの出遅れが指摘されています。特にミリ波帯(国内では28GHz帯)を使った5G展開の難しさが露呈しており、ミリ波帯で処理されるトラフィック量はほぼゼロになっています。つまり現状日本ではミリ波帯を使った5Gがほぼ使われていないという現状です。ミリ波帯の5Gを後回しにして、Sub6帯以下の周波数帯を使った5Gに注力するべきという意見も多く出ています。
【ミリ波帯普及の現状】
5Gモバイルトラフィック量は全体の3~4%で、ミリ波はSub6の120分の1となっています。5G基地局は急速に増えているものの、ミリ波はトラフィック的にほぼ使われていません。国内の5G基地局は、5G専用帯域のSub6帯・ミリ波帯だけでなく、4G帯域を転用した700MHz帯や1.7GHz帯、3.5GHz帯などローバンド・ミッドバンドにて展開されています。5Gならではの高速通信・大容量通信を実現するには、Sub6帯やミリ波帯を活用する必要があるのです。
総務省によると5Gの全国人口カバー率において4G帯域を転用したローバンドやミッドバンドの寄与が大きく、ミリ波帯における人口カバー率はなんと0%だったそうです。ミリ波帯で処理されているトラフィック量もほぼゼロとなっています。事業者ごとの5G基地局の整備状況は、NTTドコモや楽天モバイルはSub6やミリ波が中心です。一方KDDIやSoftbankはローバンドやミッドバンドの基地局数が多くなっています。
【ミリ波帯が普及しない理由を解説】
ミリ波帯が日本で普及しない理由をまとめてみましょう。
<エリア展開が難しい>
1つ目の理由として、ミリ波帯のような高い周波数帯は障害物によって電波を遮られやすいため、エリア展開が難しいためです。アメリカなど諸外国でもミリ波帯の活用はスタジアムや医療機関・施設などスポット的な活用が多いと言われています。
<日本におけるミリ波帯対応の5Gスマホが一部に限られている>
2つ目の理由として、日本におけるミリ波帯対応の5Gスマホは、現状ハイエンド機種などに限られてしまっています。日本で大きなシェアを誇るiPhoneも、日本で販売されている機種に関してはミリ波帯が非対応となっているのです。ミリ波帯対応の端末が利用者に浸透しなければ、ネットワークを展開してもミリ波帯の活用は増えないでしょう。”